市区町村の役所手続きに関する意識調査
紀尾井町戦略研究所株式会社(KSI)が5月26日に実施したオンライン調査によって、役所手続きに対する市民の意識が明らかになりました。調査対象は全国の18歳以上1,000人で、主に行政手続きの方法についての選好が問われました。
調査結果の要点
調査結果によると、役所手続きに対し「オンライン」を選択した人は39.7%で、これに「対面窓口」を選んだ37.4%が続きました。オンライン派と窓口派の割合がほぼ同じであることが印象的です。また、コンビニを利用するという選択肢を挙げた人は11.1%、郵送利用は6.5%にとどまっています。
特に興味深いのは、年代別の反応です。若い世代(20代)ではオンライン利用が多いのに対し、高齢者層(70代以上)になると対面窓口を選ぶ割合が高くなる傾向が見られました。この年代による明確な違いは、テクノロジーへの親しみやすさと関係している可能性があります。
広報誌の読まれ方
また、役所が発行する広報誌の読まれ方にも差が見受けられました。「毎号必ず読む」との回答をした人は16.0%のみで、実際には「時々読む」が最も多い結果となりました。特に、70代以上の高齢者層ではこの割合が高い一方で、若い世代ではあまり読まれないという官公庁の情報へのアクセス状況が浮き彫りになっています。
働き方改革と窓口開庁時間
さらに興味深いのは、一部の自治体による公共施設の開庁時間短縮についての反応です。過半数(51.0%)の人々が「不便だが仕方ない」と感じている一方、29.8%が「不便だと思う」と回答しています。この傾向は、職員の働き方改革が如何に影響しているかを示唆しています。
不明点の解決方法
調査では、行政サービスに関する不明点を解消するための方法についても質問されました。「対面窓口を訪問」が46.8%を占め、次いで「担当部署に電話」(43.0%)、「ウェブサイトを見る」(31.4%)と続きました。年齢が上がるにつれて対面窓口を選択する傾向が強くなることも明らかです。
実際、不明点が解消されなかった経験がある人は23.7%と少なくありませんでしたが、その主な要因としては「手続きや必要書類が複雑」や「担当者の説明が不十分」といった声が挙げられています。
暴言や不当要求の実態
また、行政窓口や公共施設で利用者が職員に対して暴言を吐いたり、不当な要求を行う場面に遭遇したことがある人は18.0%でした。年代とともにこの割合が変化することは、社会全体の意識の移り変わりを示しています。
政治状況と市民の投票傾向
最後に、最近の参院選における政党支持率についても言及されました。国民民主党が立憲民主党に抜かれ3位に転落した状況は、政党間の競争が激化していることを示唆しています。
この調査結果は、行政手続きに対する国民の意識を知る上で、極めて重要なデータを提供しています。行政のデジタル化が進む中で、市民のニーズにどのように応えていくのか、今後の課題となるでしょう。