『LAZARUS』稽古レポ
2025-05-11 22:30:35

デヴィッド・ボウイの息吹を感じるミュージカル『LAZARUS』、横浜・大阪公演に先立ち稽古場レポート

デヴィッド・ボウイの魂が宿る!ミュージカル『LAZARUS』稽古場レポート



世界的なロックスター、デヴィッド・ボウイの遺作として名高いミュージカル『LAZARUS』が、2025年5月31日から6月14日まで横浜のKAAT神奈川芸術劇場で上演されます。また、6月28日と29日には大阪のフェスティバルホールでも日本初演が行われます。今回、その貴重な日本初演に向けた稽古場の様子をお伝えします。

この作品は、ボウイが2016年に肝臓がんで他界する直前に手掛けたもので、彼と劇作家エンダ・ウォルシュが共同で製作しました。物語はボウイが1976年に主演した映画『地球に落ちて来た男』の続編として、主人公のニュートンの冒険と苦悩を描いています。

劇中には、ボウイファンにはおなじみの名曲『All the Young Dudes』や『Changes』、そして本作のために新たに書き下ろされた楽曲『No Plan』などが含まれており、音楽を通じて物語に深みを与えています。

稽古場には、松岡充をはじめとするキャストが集まり、ボウイが1986年に参加した映画『ビギナーズ』の主題歌『Absolute Beginners』を熱唱する声で満ちていました。劇中のセリフはすべて日本語ですが、歌は全17曲にわたり、ボウイの遺志を尊重して英語で歌唱されます。この点については、稽古場でも発音指導などに力を入れたきめ細やかな準備が行われていました。

特に『Absolute Beginners』が印象的なシーンで使われ、松岡演じるニュートンが女性キャラクター・エリー(鈴木瑛美子)に誘惑される場面は、ボウイのミュージックビデオにも登場する象徴的なモチーフを引き合いに出しています。エリーの魅力に惹かれつつも、ニュートンは彼女からの誘惑を振りほどき、希望を求める少女(豊原江理佳)のもとへと向かうことになります。

稽古は、演出を手がける白井晃氏の指導によって進行しました。「今日の稽古では、各シーンで何を表現しなければならないのかを考えることを重視しましょう」と、彼はキャストに具体的なアドバイスを送ります。シーンごとに丁寧に振り返りを行い、役者たちが役の内面を掘り下げる姿勢をサポートしました。

松岡は、ボウイの遺作である本作を演じることに情熱を注いでおり、彼の魂を表現するために全力を尽くしています。ボウイががんと向き合っていた時期に生まれたこの作品は、彼の意志をそのまま受け継ぎ、観客はそれぞれの人生を重ねるような体験を得られるでしょう。

特に、『LAZARUS』というタイトルには深い意味が込められています。これは聖書に登場するラザロの逸話に由来し、死からの復活を象徴しています。ニュートンという異星人が家族のもとに帰るための葛藤を描く中で、ボウイの人生観が如実に表現されています。混乱する心情や人間関係を、身体表現や演出効果を用いて視覚的に豊かに表現されることに期待が高まります。

稽古のクライマックスでは、松岡が最後に天に手を伸ばすシーンが印象的で、ボウイの存在を感じる瞬間がありました。稽古場はその後静寂に包まれ、彼が呼吸を整えながら自分と向き合う姿が印象的でした。白井氏がアドバイスをする中で、役者同士のコミュニケーションがどれほど重要か再認識され、同じ経験を共有することでカンパニーの絆が強まっていることを感じました。

この『LAZARUS』は、ボウイが闘病中に作り上げた作品であり、その背景には彼の深い思いが詰まっています。舞台を見た人々が各自の解釈で彼の意志を感じ取り、それぞれの物語を心に刻むことができるような舞台になることを期待しています。

日本初演のミュージカル『LAZARUS』は、ボウイの存在を感じる特別な時間となることでしょう。ぜひこの機会に、彼の偉大な作品を体験してください。


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