第11回サウジアラビア映画祭の華やかな閉幕
2025年4月17日から23日まで、サウジアラビアのダーランで開催された第11回サウジアラビア映画祭が無事に幕を閉じました。これは2008年から続く、同国で最も権威ある映画祭の一つです。サウジアラビア映画協会が主催し、キング・アブドゥルアジーズ王世界文化センター(Ithra)との協力の下、文化省の支援を受けて運営されています。
映画祭は、未来の映画界を築くための貴重な機会とされ、7日間にわたり多彩なプログラムが展開されました。特に目を引いたのは、「ショートショート フィルムフェスティバル&アジア2025」との共同企画による「日本映画特集」です。これは、映画が持つ対話と文化交流の象徴とされ、大きな注目を集めました。
映画の上映では、長編・短編を含む日本の作品が数多く紹介され、特にサウジアラビアでの初上映となる作品もありました。上映された作品は以下の通りです:
- - 金子雅和監督『リバー・リターンズ』(2024年)
- - 落合賢監督『太秦ライムライト』(2014年)
- - 山村浩二監督『頭山』(2002年)および『とても短い』(2024年)
- - 西山裕之監督『青と白』(2022年)
- - 長部洋平監督『TOMA#2』(2023年)
- - 村口知巳監督『ザ・ニュー・ワールド』(2023年)
- - 仲里依紗監督『KABURAGI』(2024年)
また、映画祭期間中の4月19日・20日には、上映に加えてパネルディスカッションやマスタークラス、文化シンポジウムなど、盛りだくさんのプログラムが行われました。これに取り組んだのは、アメリカを拠点に活躍する日本人監督の落合賢氏、アカデミー賞ノミネートを受けた山村浩二氏など、映画界の有識者たちです。
「物語を紡ぐ器」としての映画は、日本とサウジアラビア双方において重要な文化的なテーマであり、今年の映画祭のメインテーマ「アイデンティティの映画」とも共鳴しました。映画監督の山村浩二氏は、日本のアニメ映画や日本映画全般のストーリー性が特にサウジアラビアで高く評価されていることを説明しました。
パネルディスカッションでは、映画のエキスパートたちが、サウジアラビアと日本のストーリーテリングの共通点について熱心に語りました。さらに、山村浩二氏は自身の作品を通じてアニメ制作の実際について、40年以上の経験を基に語りました。彼は、伝統的な物語や昔話からインスピレーションを得て、新たな次元を加えた作品作りの重要性を伝えました。
また、映画祭副会長のマンスール・アル・バドラン氏は、日本映画特集を通じた文化交流の意義を強調しました。このプログラムに参加した多くのクリエイティブな関係者たちが互いに交流したことで、両国の映画人との新たなコラボレーションの可能性が広がったと述べました。
サウジアラビアでは、30代未満の人口が約70%を占める中で「日本映画特集」の成功は、今後の日本の映画産業の発展において大きな意義を持つことでしょう。映画は、文化や背景を越えた人々を結びつける力を持っており、今年の映画祭がその良い例を示しました。