冨永愛が伝えるいざなぎ流の魅力
高知県香美市物部町には、長い歴史を持つ民間信仰「いざなぎ流」が息づいています。この地域の伝統文化を紹介するテレビ番組「冨永愛の伝統to未来~ニッポンの伝統文化を未来へ紡ぐ~」では、冨永愛がこの村を訪れ、いざなぎ流の神秘的な世界に触れる様子が放送されました。
いざなぎ流のルーツ
いざなぎ流は、陰陽道、修験道、神道、密教などが融合し生まれた独自の民間信仰です。この流派の起源を物語る「いざなぎ祭文」には、占い上手の「天中姫宮」が人々を救うための祈祷を求め、いざなぎ大神から人形祈祷の技術を学んだとされています。この教えを受け継いだ者が「太夫」となり、口伝で継承されてきました。昭和55年には「国重要無形民俗文化財」に指定されています。
太夫と地域への影響
太夫たちは、地域の家庭を訪れ、家の神を祀る祭りや病気の治癒を目的とした「病人祈祷」を行います。昔は病気になると病院ではなく、太夫に祈祷を頼むことが一般的でした。しかし、現在は太夫の高齢化が進み、後継者が見つからない現状に直面しています。地域の伝統を守るため、物部いざなぎ流神楽保存会の会長である佐竹美保さんは、子供たちへの指導を続けています。
冨永愛の体験
冨永愛が訪れた「まきの宿」では、いざなぎ流の伝統を受け継ぐために、「御幣切り」や舞神楽の体験を教えています。「御幣」は祈祷に使う神や精霊を模した切り紙で、その種類は200以上あります。冨永は「天神の払い幣」を切る体験をし、それが「生き幣」となるか「死に幣」となるかドキドキしながら挑戦しました。彼女はこの体験を通じて、いざなぎ流の神秘に触れ、「不思議で神秘的な気持ちになった」と語っています。
さらに、4人の太夫によるいざなぎ流舞神楽が披露され、太鼓の音に合わせて多彩な舞いが繰り広げられました。この光景は、古来より続く民間信仰の重要性を改めて感じさせました。冨永は、「いざなぎ流は日本の原風景ともいえる文化。地域の宝として未来への継承が必要だと感じました。」と締めくくりました。
公演と保存活動
いざなぎ流の舞神楽は、今年の1月に高知県立美術館ホールで行われた略式御祈祷神楽での公演でも披露されました。この公演では、しめ縄で結界を作り、通常は1週間かけて行う御祈祷を1日で行う形式が取られ、地域の子供たちも参加しました。立ち見が出るほどの盛況ぶりでしたが、太夫の高齢化から次回以降の公演が危ぶまれており、佐竹さんは心を痛めています。
いざなぎ流の未来
番組「冨永愛の伝統to未来」の放送は、3月5日と12日、水曜の夜10時からBS日テレで放送されます。この美しい民間信仰の伝承に、あなたもぜひ注目してみてください。地域文化の大切さを感じ、持続可能な未来を考える貴重な機会です。