葉真中顕の新たなる挑戦
2023年10月24日、文藝春秋から葉真中顕の最新作『家族』が発売されました。本作は、2011年に発覚した兵庫県尼崎市の連続殺人・死体遺棄事件をモチーフにした衝撃のクライムエンターテインメントで、読者を不気味な世界へと誘います。これまでにも数々の賞を受賞し、映画化やドラマ化もされた実力派作家が、また新たな境地を切り開く作品を生み出したのです。
新作の背景
『家族』は、警察が介入できない「民事不介入」の法律がもたらす恐ろしい側面にスポットを当てています。物語は、奥平美乃という女性が交番に駆け込むところから始まります。彼女は半年ほど前から「妹夫婦がおかしな女にお金を取られている」と相談していたものの、警察に相手にされなかった経緯があります。
物語が展開される中、奥平はある信じ難い真実に直面し、彼女を監禁していた夜戸瑠璃子という女性との恐怖の関係が明らかになっていきます。瑠璃子は、虚構の家族を作り、その中で暴力と支配を駆使しながら残酷な実験を繰り返していました。彼女の罪と、その背後に隠された真実が紐解かれていくさまは、読む者を釘付けにします。
感情の交錯
著者の葉真中は、作品を通じて「家族」とは何か、「愛」とは何かを問いかけます。登場人物たちの運命は、瑠璃子との出会いによって狂わされ、命を落としていく様子は、現実の社会にも通じる課題を浮き彫りにしています。「事件」から十数年を経て、著者はその時の真実を追求し続け、文学に昇華させました。
言葉の力
本作の魅力は、非常に高いリーダビリティにあります。緊迫した展開の中で、読者はたびたび息をのむ瞬間に出くわします。書店員たちも「読む手を止めることができませんでした」と絶賛の声を寄せています。この作品は、単なるミステリーに留まらず、人間の暗い本性を映し出す鏡のような役割を果たしています。
著者について
葉真中顕は、1976年に東京で生まれ、2013年に『ロスト・ケア』でデビューを果たしました。その後、数々の受賞歴を持ち、多くの作品が映像化されて話題を呼んでいます。『家族』は、彼の新たな挑戦として位置付けられており、ミステリー界における彼の存在感をさらに強固なものにすることでしょう。文学ファンはもちろんのこと、ミステリー好きにもぜひ手にとっていただきたい一作です。
書誌情報
- - 書名: 家族
- - 著者: 葉真中顕
- - 定価: 1980円(税込)
- - 出版社: 株式会社文藝春秋
- - 判型: 四六判上製カバー装320ページ
- - 発売日: 2023年10月24日
- - ISBN: 978-4-16-392030-6
公式書誌URL:
文藝春秋
この新作『家族』は、葉真中顕が描く新しい家族の形と、その裏に潜む恐怖を知る絶好の機会です。この作品を通して、一度も見たことがない地獄を覗いてみてはいかがでしょうか。